認知症の妻を90代の夫が介護する日々を、夫妻の娘で監督の信友直子さんが撮影した記録映画の第2弾「ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~」の上映会が24日、白老町東町のいきいき4・6で開かれた。町民ら約350人が訪れ、上映後の信友さんの講話にも耳を傾けた。
映画は、認知症が進行する90歳の妻を98歳の夫が介護する日常生活を記録。夫は家事全般をこなしながら妻の介護に当たるが、妻は認知症が進む中で脳梗塞(こうそく)を発症、入院生活となる。夫は毎日1時間かけて面会に通い、励まし続け、尽きない愛情と奮闘の中、98歳にして筋トレを始める。娘である信友さんの優しいまなざしが感じられる映画で、認知症患者の当事者や家族らへの力強いエールとなっている。
上映後の講話で信友さんは「認知症の母が命懸けで教えてくれたこと」の演題で登壇。地域住民や医療、介護福祉関係職員らの支えに感謝しながら「人生100年という長寿の時代にあって(認知症を)自分のこととして考えることが大切」と語り掛けた。
また「家族は認知症の人を隠したり、本人も隠れがちだが、かえって心が萎縮して(病気の)進行を早めてしまう可能性がある」と指摘。社会が輪になって「お互いさまの気持ちで支え合える関係性を築いていくこと」が求められると語った。
友人と4人で鑑賞した町竹浦の主婦、鈴木キワ子さん(80)は「頭や体が動くうちは『周りの人のために』という気持ちで接していきたいという思いを新たにした」と話していた。