苫小牧市内に住むA子さんは、若い頃から海外に興味があった。結婚や子育てで出発の機会を逃し続け、間もなく後期高齢者に仲間入りする年齢だが、今でも頑張っている留学生や旅行者を見ると、力になれることはないか―と考える。
先週末、スーパーへ買い物に出掛けた時、口座の点検をするため金融機関のコーナーへ行くと、東南アジア系と思われる女性が、自分よりも年上の日本人女性に機械の操作を尋ねていた。日本語の会話能力は片言よりもかなり上だ。しかし機械が苦手な高齢者との会話は難しく、二人とも疲れ果てていた。「どうしましたか?」と声を掛けると「口座に入金したい」。通帳と、真新しい紙幣を持っていた。機械の指示通りに操作すれば入金は可能だ。それを説明し、了解を得た上で「通帳を開いてここに入れて―」と機械を操作すると作業はすぐに終わった。
「ありがとうございます。親切な人たちに会えてよかった」。自転車置き場で何度も何度もお礼を言われた。日本の高齢者介護を学ぶ、明るく元気なフィリピン人研修生をテレビで見たことがある。もしや―そんな想像をしたが、職業や連絡先は特に聴かなかった。私たちの第一の役目は彼女たちの成長を待つだけでなく、まず生活の安定と安全の提供。(水)