釣り文化モデル港  新たに室蘭港指定 絵鞆の内防波堤開放へ

  • 釣り
  • 2024年8月22日
通常は閉鎖されて立ち入ることはできない、室蘭港祝津絵鞆地区の内防波堤
通常は閉鎖されて立ち入ることはできない、室蘭港祝津絵鞆地区の内防波堤
室蘭港を代表するウオーターフロントの親水空間。景観も優れる絵鞆臨海公園のボードウォーク
室蘭港を代表するウオーターフロントの親水空間。景観も優れる絵鞆臨海公園のボードウォーク

  国土交通省の地域振興策「釣り文化振興モデル港」の第3次募集で室蘭港が追加指定された。港湾管理者の室蘭市は、祝津絵鞆地区にある内防波堤などの有料開放を想定しており、2026年度の本格開放に向けて運用方法を検討する。道内では今回、桧山管内の江差港も指定されており、先行して有料の釣り防波堤を運用している苫小牧港と合わせて道内モデル港は3港となった。

   釣り文化振興モデル港は、国交省が19年度から進めている地域振興策の一つ。基本的に立ち入りが規制される防波堤や護岸など、既存の港湾施設を釣り場などの観光資源として目的外利用することを可能にした。

   3次募集では室蘭港、江差港のほか千葉県館山港、長崎県比田勝港、鹿児島県志布志港の5港を追加指定した。これによりモデル港は全国で21港。苫小牧港は20年に道内第1号で指定されている。22年から東港区の一本防波堤を開放し、NPO法人が有料釣り施設として運営している。

   室蘭港は、行政が中心の「室蘭港釣り文化振興検討会」が申請した。同港は天然の良港で、釣りファンの間で「ロックフィッシュの聖地」と言われている。平物も含め実績のある人気ポイントが港内に多数ある。

   市港湾部によると、開放予定の施設は祝津絵鞆地区の内防波堤と隣接する絵鞆臨海公園ボードウォークの2カ所。同エリアには道の駅みたらや温泉、水族館、マリーナなどの施設が集積しており、「臨海部の魅力を向上させてさらなるにぎわいの創出と誘客を図るのが狙い」と担当者。港湾計画や構想には釣りを含んではいないものの、需要と可能性を見込んでモデル港の申請に踏み切った。春から秋に内防波堤とボードウォークを釣り場として有料開放する方向で検討する。

   対象となる魚はカレイ類、ヒラメ、アブラコ、ソイなど。今季、この2カ所で日本釣振興会の関係者が実釣し、50センチを超えるヒラメや同サイズのアブラコを釣り上げている。

   運用には釣り場を管理、運営する組織づくりが必要。今年度は関係機関による協議会を設けて課題や運営体制、必要な施設整備、料金設定などを検討する。来年度にプレ開放し、26年度に本格開放したい考えだ。

   江差港も行政中心の取り組み。江差町まちづくり推進課によると、開放するのは鴎島から東方向に設置されている西防波堤。現状でも釣り人は多いが、ポイ捨てごみや港内を行き来する漁船とのトラブルなどあつれきもあるよう。町は釣り場の安全確保やマナーの向上につなげることを含めた運用方法を探る。

   年内に協議会組織を立ち上げ、開放の方法や料金の有無、安全設備の整備や財源を検討する。早ければ来年度にも釣り教室などのイベントでの開放を目指す。同課は「自然公園の鴎島、港内の海の駅開陽丸など周辺のまちづくりとにぎわいづくりの一環。一帯で良好な観光資源としてアピールできれば」と話している。

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