九谷赤絵の極致(下)図様の原典が珍しく判明

  • 特集, 苫小牧市美術博物館
  • 2024年8月21日
「方氏墨譜」第1巻「畢之宿」
「方氏墨譜」第1巻「畢之宿」
「畢之宿図鉦鉢」(部分)=宮本屋窯、江戸時代(19世紀)、個人蔵
「畢之宿図鉦鉢」(部分)=宮本屋窯、江戸時代(19世紀)、個人蔵

 宮本屋窯の作に描かれる画は道釈人物、山水、花鳥、霊獣など、中国由来のものが多く見受けられます。宮本屋窯の作に描かれた画や意匠は、中国・明時代の万暦16(1588)年に刊行された墨のデザイン帳である画譜『方氏墨譜(ほうしぼくふ)』に基づいていることが判明しています。

 また、画工の飯田屋八郎右衛門が『方氏墨譜』にインスピレーションを得て作成したと考えられる図案帳『八郎墨譜』も今に伝わっており、その中には現存する宮本屋窯の作そのもののデザインも見ることができます。このように、焼き物に描かれた図様の原典が判明しているということは実は非常に珍しく、宮本屋窯の作品群は、学術研究の対象としても極めて重要な存在です。

 さて、デザインソースとなった画譜と実際の作品を見比べてみると、単にそのままの写しではないということが分かります。畢之宿図鉦鉢(ひつのしゅくずどらばち)では、『方氏墨譜』第1巻に伝わる天の赤道体を区分する二十八宿の一つである「畢宿」を転用したものですが、作品では霊獣は濃い赤に金彩が施された雲をまとい、微細な毛並みで気高く雄々しい姿に転化されています。そして、濃い赤の雲の外側に隙間なく描き込まれた雲の文様が、口縁まで続く幾何学的な文様と写実的な霊獣のモチーフを緩やかにつないでいます。写実的な描写と、緻密な装飾文様が見事に融和したデザインに描きかえられることによって、作品の品格ある華やぎが実現されているといえるでしょう。

 (苫小牧市美術博物館 主任学芸員 立石絵梨子)

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