北方領土の元島民らが船に乗り、洋上から先祖を供養する「洋上慰霊」が20日、始まった。北方墓参などの四島交流事業が中断する中、道や元島民らでつくる千島歯舞諸島居住者連盟などが共同実施。今年で3年連続で、9月にかけて計7回実施される。
初日のこの日は元島民やその家族ら計約80人が参加。午前9時半ごろ、交流船「えとぴりか」が根室港を出発し、午後1時ごろに国後島の沖合に到着すると慰霊式が行われた。それぞれが手を合わせて祈りをささげ、船上に設置された祭壇に花を供えた。
択捉島の出身で同連盟の松本侑三理事長(83)は追悼の言葉で、島を訪問できない現状を「誠に残念でならない」と述べ、「一日も早くお墓参りができることを願ってやみません」と訴えた。
歯舞群島の元島民3世で大学生の木村美月さん(21)=江別市=は、「北方領土は授業でもあまり深くやってこなかった。北海道だからこそもっと触れたいなと思った」と語った。
四島交流事業は、ロシアによるウクライナ侵攻を巡り日ロ関係が悪化した影響で中断しており、再開の見通しは立っていない。