日常を支える存在や楽しみ事を失って喪失感を抱えることを「○○ロス」と言うが、パリ五輪閉会後、数日の間そのロスを感じた。代表選手の話題で連日、元気をもらうのが当たり前だった。ただ一方で審判の判定やSNSでの誹謗・中傷など、すっきりとしない問題や課題も幾つか気になった。2年後の冬季五輪に向けて何らかの対策が求められそうだ。
勝手に感じていた五輪ロスが一気に吹き飛んだのが、14日に岸田文雄首相が会見して表明した、自民党総裁選の不出馬だ。支持率が低迷し、党内基盤が弱い岸田さんでも再選を目指すのは既定路線とみられていたから、お盆の時期のこのタイミングでの表明は驚いた。後になってもろもろの報道や背景の解説がなされて、なるほどと思う面もあるが、政治の世界の一寸先はやはり闇のよう。岸田さんは会見で「政治家の意地」という表現を何度か使った。簡単に口にする言葉ではない。本意とたがう感情がみてとれた。
この8、9月は、近い将来にあるかもしれない衆院の解散総選挙や現下の国際情勢、不安定な経済情勢を考えれば、重要な期間になる。自民と立憲民主、与野党の要の代表選びがあるからだ。党員でもなければ関わることはないとはいえ、注視怠ることはまったくできない。(司)