暑さ対策が新たな局面へ。第106回全国高校野球選手権大会では、3日目まで1日3試合を午前と夕方に分けて実施する「2部制」が試験的に導入された。選手、観客に大きな影響を与え、収穫と課題が浮き彫りになった。
大会初日、最後の第3試合に出場した岐阜城北(岐阜)と智弁学園(奈良)は前例のない調整を強いられた。午前8時半開始の開会式に出席した後に宿舎へ。午後6時52分に試合が始まり、終了したのは開会式から約13時間後の同9時36分だった。一方で、午後4時開始の第2試合に出場した健大高崎(群馬)の石垣元気投手が「涼しくて投げやすかった」と語ったように、最も暑い時間を避ける目的は果たした。
午前の部を終え、甲子園球場には「夕方の部の入場券をお持ちの方もご退場くださいますようお願いします」とのアナウンスが流れた。初日終了後、日本高校野球連盟の井本亘事務局長は観客の入れ替えについて、「混乱することなく終わった」と手応えを示したが、集客には課題も。大会初日の午前の部が2万9千人だったのに対し、夕方は1万人。2日目と3日目も、1試合のみ行われた夕方の部では明らかに空席が目立った。
広陵(広島)が帽子やアンダーシャツを黒から白の物に変えるなど、各校が例年に増して暑さ対策を講じた。それでも、熱中症と診断された選手がいたほか、試合中に脚をつる場面も相次ぐ事態。「2部制で(試合を)やったチームに感想を聞くなど、大会後にいろいろな情報を収集していきたい」と井本氏。一つひとつの課題を検証し、来年以降に備える構えだ。