衆院安全保障委員会と参院外交防衛委員会は30日、防衛省・自衛隊の不祥事多発を受け、それぞれ閉会中審査を行った。木原稔防衛相は「国民の信頼を損なうもので、監督責任も含め深くおわびする」と陳謝。野党の辞任要求には「仕事を放棄することが責任の取り方とは思わない」と拒否した。自民党の黄川田仁志、立憲民主党の渡辺周両氏への答弁。
海上自衛隊の「潜水手当」不正受給に絡み昨年11月に4人が逮捕されたことは公表されず、木原氏への報告もなかったことに関し、「文民統制という観点で非常に問題があった」と認めた。隠蔽(いんぺい)の意図を否定し、「判明した事実に基づき厳正に対処していく」と述べ、関係した職員の処分も視野に対応する考えを示した。立民の小西洋之氏らへの答弁。
防衛省の事務方が5日、木原氏に報告した際、説明資料の注釈には逮捕についての記載があったが、口頭での説明はなかった。木原氏はこれに気付かず、「責任はあると思っているが、私に分かるように説明することが官僚の義務だ」と主張した。小西氏への答弁。
報告がなかった経緯に関しては「防衛相報告は懲戒処分を中心に行ってきており、逮捕の報告をするという着意に一貫して欠けていた」と同省の対応を批判。「隊員の逮捕や懲戒処分に係る情報の円滑な報告に万全を期す」と述べ、省内規則を見直す考えを示した。自民の佐藤正久氏らへの答弁。
海自の潜水艦修理に絡む川崎重工業の接待疑惑では、同省は4月に把握したにもかかわらず、特別防衛監察の実施は今月に入ってからだった。野党は「通常国会後への先送り」と追及したが、木原氏は、税務調査のため同社側の資料を閲覧できなかったのが理由と説明した。立民の重徳和彦氏への答弁。