政府は29日、障害者差別の根絶に向けて全閣僚で構成する対策推進本部(本部長・岸田文雄首相)の初会合を開いた。首相は「これまでの取り組みを点検し、教育・啓発を含めて取り組みを強化していく」と述べ、新たに行動計画を取りまとめる方針を表明した。
首相は、各閣僚に対して(1)障害者の結婚・出産・子育て支援の推進(2)各府省庁の研修・啓発活動の強化(3)障害の有無にかかわらず個性を尊重し合う「心のバリアフリー」に関する取り組みの進捗(しんちょく)確認(4)障害者からの意見聴取―を求めた。必要な対応策を検討し、行動計画に反映させる。
同本部は、障害などを理由に不妊手術を強制した旧優生保護法を憲法違反とした最高裁判決を受けて設置された。首相は係争中の訴訟を巡り、和解による早期解決を指示。被害者救済の在り方を検討する超党派議員連盟との調整加速も促した。
首相は17日、強制不妊訴訟の原告らと面会した際、差別・偏見や優生思想の根絶に全力で取り組む考えを強調。政府は、相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」の入所者殺傷事件から8年を迎えた26日、同本部の設置を閣議決定した。