白老町陣屋町の仙台藩白老元陣屋資料館(武永真館長)で27日、特別展「蝦夷地の陣屋」が開幕した。町と町教育委員会が主催する同資料館の開館40周年記念事業。史跡「白老仙台藩陣屋跡」をはじめ、道内19カ所の陣屋跡の現状を絵図や史料で伝え、一巡りすると道内の陣屋の歩みを把握できる。28日には道内の史跡保全関係者ら14人を迎え、陣屋を介した連携を考えるシンポジウムが町コミュニティセンターで開かれる。
陣屋は幕末期、ロシア南下などを警戒した江戸幕府に北方警備を命じられた東北地方の6藩が、警備の拠点として蝦夷地各地に置いた。同展では8月18日まで、白老を含む全道20カ所の陣屋跡に関する資料や史料約80点を展示する。
資料は、同資料館友の会(川西政幸会長)の会員らが2021年度から3年かけて陣屋のあった道内自治体の史跡保存関係者らに取材し、知り得た各陣屋の来歴や現存する遺構の状況などを紹介する。
史料は、調査を通じて縁ができた道南、道東、道北の博物館や郷土資料館17施設から借り受けた絵図や文献、絵馬。いずれも貴重な品々で、中には根室管内標津町に会津藩の陣屋が置かれていた当時、現地にあった士部津会所の日常を描いた「標津番屋屏風」(1864年、157・4センチ×352センチ=標津町ポー川自然公園所蔵、複製)がある。1855年制作の「仙台藩士奉納武者絵馬」(釧路管内厚岸町郷土館所蔵)もある。
武永館長は「各地の陣屋の情報が集まり、道内の陣屋について総合的に理解できる貴重な機会。幕末の北方警備史の魅力を知るきっかけにして」と呼び掛けている。
シンポジウムは28日午後2時半から、「全道陣屋跡の現状と課題~所在市町間における人と情報・史資料のネットワーク構築に向けて」をテーマに開かれる。これに先立ち同1時から、北海道博物館の学芸員三浦泰之さん(50)の基調講演が行われる。入場無料。当日直接会場へ。