白老町のアイヌ文化復興・発信拠点、民族共生象徴空間(ウポポイ)は12日、開業4周年を迎えた。国土交通省北海道局のまとめによると、開業から今年6月末までの入場者数は累計120万2人。このうち23年度は前年度を3万5941人下回り、33万3097人となった。同年5月の新型コロナの5類引き下げで旅の志向が変化する中、道内客が減り、道外客、訪日客が増えた。入場者の満足度は向上していた。
入場者数を年度別に見ると、国内外から注目されて開業した20年度(7月~翌年3月)は9カ月間で22万2794人だった。21年度(4月~翌3月)は19万618人に減少したが、22年度は36万9038人に増加。23年度に再び減少した。
23年度入場者の内訳は、道内客が前年度比4・1万人減の11・3万人、修学旅行生が同1・5万人減の6・7万人。一方、道外客が同1万人増の13・6万人、訪日客が同1万人増の1・7万人で、道内客が減り、道外客、訪日客が増えた。白老町の23年度上半期町内観光入り込み客数調査では、新型コロナの5類引き下げ以降、観光、旅先の志向が近距離から遠距離に変化したことが確認されており、ウポポイの入場者にも同様の傾向がみられた。
同局による入場者へのアンケートでは、総合的な評価で満足度が3・8ポイント増え、91・2%になった。さらに高校生がアイヌの歴史、文化の知識や理解について「理解が深まった」と回答した割合も4・6ポイント増えて92・4%になり、アイヌ文化のナショナルセンターとしての取り組みへの評価は高まっていた。
民族共生象徴空間運営本部の担当者は入場者数の動向について「多くの方に足をお運びいただくこと、来られたお客さまには満喫いただけるよう取り組みを日々充実していくことが必要」との見解を示す。その上で「大型休暇を控え、弓矢体験をリニューアルし、8月に夏休みイベントを企画した。今後は入場者に利用してもらうVR(仮想現実)ゴーグルを更新する予定で、町との連携も一層強化し、誘客を確実に促進していく」と語った。