”盆栽岩” SNSなどで人気に

  • 支笏湖日記, 特集
  • 2024年7月12日
”盆栽岩” SNSなどで人気に

  約4万6000年前の支笏火山の活動によってできた支笏湖。その爆発の際、火砕流となって流れ固まった岩や噴出された大きな岩が周囲に堆積し、今でも支笏湖やその周辺に見ることができます。

   支笏火山は噴火後、大きなくぼ地となり数万年にわたって水がたまり、現在では水質、貯水量共に全国2位を誇る美しい湖となりました。その水位に大きな変動があったのは1910(明治43)年、王子製紙苫小牧工場に電力供給のため、千歳第一発電所取水堰(えん)堤を建設した時で、水位が5メートルも上昇したと言われています。この支笏湖の水位の上昇により、それまで地面であったところが水面下となりましたが、支笏火山がつくり出した大きな岩はそれでも水に沈むことなく小さな島のようになりました。その一つが”盆栽岩”と呼ばれ、SNSなどに投稿され人気を呼び、ビジターセンターに来館されるお客さまからも聞かれることが多くなりました。

   6月の暑い日、美笛からカヤックに乗って盆栽岩を探しに行ってみました。エゾハルゼミが鳴くこの時期は水もぬるくなり、緑も徐々に濃さを増し、盆栽岩探しを楽しむにはとても良い日でした。この岩は直径7メートルほどの大きさで、上には盆栽のように木やコケが生えています。これらの木は種を鳥が運んできたのか、風で飛んできたのかは分かりませんが、長い時間をかけて天然の盆栽が湖面に完成し、見る人の目を楽しませてくれています。

   他にも同じように水位の上昇によって、離れ小島のようになってしまった岩が支笏湖には多く存在します。中には”ゼロポイント”と呼ばれる水面とちょうど同じ高さの岩で、上に立つと水面に立っているように見える場所も存在します。

   これから本格的な夏を迎える支笏湖で、あなたもお気に入りの盆栽岩を探してみませんか?

  (支笏湖ビジターセンター自然解説員 西川藍)

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