厳しいけれど

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  • 2024年7月9日
厳しいけれど

  この国の中小企業は、人手不足でどの従業員も手いっぱいな職場が多い。もしそこで育児休業者の業務が特定の従業員にただ上乗せされれば、当事者には疲労や不満がたまる。休んだ側も何かの折に様子を知れば、職場復帰への意欲がそがれかねない。しかし、子育て支援の対象は子育て中の人だけと思われがちで、周りの人までは目が向きにくい。

   妙齢の頃の女子会もそうだった。ある同級生が「同僚の女性が育児休業を取り、仕事が自分に回ってきた。すごく大変。つらい」と窮状を吐露した際、周りのみんなは「育休がまだ取りにくい社会なのに、休みを取った同僚は勇気がある。応援しようよ」と諭してしまった。

   国は2020年、職場に育児休業者がいて、業務を代替する従業員に手当を支給する中小企業に、助成金を支給する制度を設けた。子育て中の女性が安心して働き続けるには、職場の周りの従業員も支えることが必要と認識したのだ。

   今年は業務代替者への手当額に応じて助成金を支給するようにし、代替者支援を手厚くした。事業主が助成金を受け取るには、育休取得も業務代替もしやすい職場にする必要がある。厳しい話だが、中小企業は国内企業の9割を占める存在。国の求めも大きくなるのだろう。(林)

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