【パリ時事】7日行われたフランス国民議会(下院、定数577)総選挙の決選投票は即日開票され、国民に不人気の年金改革の廃止などを訴えた左派野党連合が事前の予想を覆し、下院の最大勢力に躍り出る見通しとなった。マクロン大統領の中道与党連合は第2勢力に後退。過半数(289)を目指した極右野党・国民連合(RN)は選挙戦最終盤に失速した。
選挙戦は左派、与党、RNによる三つどもえの争いとなった。世論調査会社5社が投票終了後に公表した予想獲得議席は、左派が171~208議席(改選前149)、与党が152~180議席(同250)、RNが132~152議席(同88)。
与党を陣頭指揮したアタル首相は7日、マクロン氏に辞表を提出すると表明。ただ、過半数に届きそうな陣営はなく、選挙後の政権の枠組みは不透明だ。パリ五輪の開幕を26日に控え、アタル氏が暫定政権を当面率いる可能性もある。
RNは6月30日の第1回投票で、最終的に過半数に達する勢いを示した。危機感を強めた与党と左派は200超の選挙区で極右の対抗馬を一本化。決選投票で両陣営の支持票を1人の候補に集中する戦術を展開した結果、土壇場でRNを逆転する形となった。
マクロン氏は6月上旬の欧州連合(EU)欧州議会選でRNに圧勝を許し、解散・総選挙の賭けに踏み切った。極右の躍進は防いだものの、結果は裏目に出た。マクロン氏は選挙結果にかかわらず、辞任しない意向を明らかにしている。
左派は最低賃金引き上げや富裕層・大企業増税を訴え、若者や労働者に支持された。RNは移民排斥や治安改善を主張。一方、与党は過去7年間の政策が「庶民圧迫」と見なされ、苦戦した。
有権者の関心は高く、投票率は推定%台後半。2022年の前回総選挙の決選投票を約ポイント上回る水準となった。