白老町の仙台藩白老元陣屋資料館(武永真館長)は、2022年度と23年度の事業内容や成果をまとめた資料館報第20号(A4判、174ページ)を発行した。この2年間は、史跡「白老仙台藩陣屋跡」が北海道遺産に選定され(22年10月)、白老東高校の生徒が同資料館友の会のボランティア館内ガイドとして成長するなど話題が豊富で、情報量は過去に発行した館報の中で最も多い。
北海道遺産の選定では、選定の理由や経緯のほか、関連行事として開いた記念講演会とその内容、特別展で使用した絵図、年表、解説を付記する。
同資料館友の会の会員ら地域の大人が2年間挑戦した高校生ガイドの育成については、昨年度まで資料館の職員として関わった三浦和男さんが「若者と老人のケミストリー(化学変化)」と題する論文でまとめた。「陣屋の堀より深い」と思われた世代間ギャップが次第に埋まっていく両世代の悪戦苦闘ぶりと、生徒たちの成長や達成感を伝えている。
このほか、今夏、開催する特別展で発表する道内17カ所の陣屋跡で行った調査の内容を紹介。「白老の駅逓」「ドローンが観た輝ける白老の風景」「刀剣展」などの企画展、特別展を振り返ることもできる。
200部発行し、町内外の文化施設に配布。岩手、宮城、福島県の旧伊達氏領ゆかりの土地の博物館や図書館にも発送したという。
白老仙台藩陣屋は、幕府の命令で仙台藩が1856年に構築。戊辰戦争が起きる68年まで蝦夷地の防衛を担った。幕末の歴史を伝える跡地は1966年、史跡「白老仙台藩陣屋跡」として国史跡に指定されて保存され、2022年に北海道遺産に選定された。資料館は同史跡に関する資料を収蔵、展示する。