オホーツク管内大空町の三平廣幸さん(68)は1日、厚真町新町の災害公営住宅、のぞみ団地で、手打ちそばをボランティアで地域住民に振る舞った。2018年9月の胆振東部地震発生後、町内の仮設住宅で同様にそばを提供しており、今回は約4年ぶりの活動。心のこもった手打ちそばを味わい、町民からは感謝の声が聞かれた。
三平さんは、11年3月の東日本大震災発生後、自分にできる範囲で被災者に喜ばれることをしようとボランティアを始めた。地震や豪雨でダメージを受けた全国の被災地を巡り、復旧作業に活動。その傍ら、そば打ちを習得し、被災者に打ちたて、ゆでたてのそばを振る舞っている。そばのほか、かえし、つゆも基本的に手作りしている。
胆振東部地震後は、19年4月に町内の仮設住宅に向かい、被災者の依頼に沿って倒壊した家屋の資材搬出作業やそば打ちを行った。
コロナ禍などで3~4年ほど町に来ることができなかったが、4月に能登半島地震の被災地で活動して道内に戻った際、厚真町に入り、仮設住宅で出会った犬飼正規(70)さんと再会。同町で、そば打ちを行うことにした。
のぞみ団地では、集会所で上川管内幌加内町産のそば粉を使用した十割そばを打ち、約100食分を用意した。犬飼さん宅でそばをゆで、かけそばと盛りそばを約50食分提供した。
そばを食べた富里の男性農業者(74)は「仮設住宅の時からお世話になった。感謝の気持ちでいっぱい」と感慨深く話す。新町の厚真中央小学校5年、美田暖(のん)さん(10)は「そばは普段食べないけど、このそばは食べることができた」と笑顔を見せた。
三平さんは被災地や被災者について、「ハード面が復旧しても、被災した人の心の中もそうなのか、われわれには計り知ることができない」とし、「少しでもそばを食べ、おいしいと言ってもらうようにしたい」と思いを語る。
1月に発生した能登半島地震の後、石川県の珠洲市や七尾市などへ赴いたが、「そばを振る舞う状況ではなかった」と振り返り、「今後、機会があれば能登半島に行き、そばを作りたい」と話した。