7 鉄分不足で貧血 成長期は男子も注意

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  • 2024年5月2日
7 鉄分不足で貧血 成長期は男子も注意

  スポーツに打ち込む成長期の子どもには、鉄不足による鉄欠乏性貧血がしばしば見られます。貧血になると疲れやすくなったり練習についていけなくなったりする恐れがありますので、予防が大切です。

   赤血球に含まれるヘモグロビンは、全身に酸素を運ぶ働きを持っており、鉄とたんぱく質からできています。鉄が不足するとヘモグロビンの合成が進まず、貧血につながるのです。

   鉄欠乏性貧血の原因は、出血などにより鉄が失われること、ダイエットや偏食による鉄の摂取不足、成長による筋肉量や血液量の増大に伴う鉄の必要量増加︱などです。成長期は体が大きくなるために鉄の必要量が多くなりますから、食事量が足りないと鉄も不足してしまいます。

   貧血は女性に多いと思うかもしれませんが、特に成長期は男性にも見られます。月経で鉄を損失する女性と同様、貧血予防を心掛けてください。

   鉄欠乏を予防するにはまず、エネルギー不足にならないよう、一日に必要な摂取エネルギーを食事で取ります。ヘモグロビンの合成にはたんぱく質も欠かせません。鉄が豊富なたんぱく源であるレバー、赤身の牛肉、マグロ、かつおなどを取り入れましょう。

   野菜類では、ホウレンソウよりも小松菜の方が鉄が多いことをご存じですか? 炒めたり、おひたしにしたり、みそ汁に入れたりとさまざまな食べ方ができます。

   アサリやシジミなどの貝類も食べるとよいです。特にアサリの水煮缶は鉄が多く、パスタやあえ物、スープなどいろいろな料理のトッピングに使えます。

   ビタミンCは鉄の吸収を促進します。デザートとしてかんきつ系の果物やオレンジジュースをコップ1杯プラスしてもよいでしょう。食事は単品にならないよう、複数を組み合わせて食べるようにしましょう。

  (保井智香子・立命館大教授、イラストはカモシタハヤト)

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