サクラ開花、空港の混雑―。報道からの情報ばかりの春。玄関のチシマザクラ開花だけが実物。早く体を鍛えねば。
子どもが高校生の頃まで、年に2、3度は必ず、道南の漁村に住む義父母を訪ねていた。義母は次男が生まれた時、交代するように50代で急死した。義父も70代の前半にがんで亡くなった。わが家の3世代がそろった時間は極めて短いが、来訪を心から喜んでくれた人と過ごす時間は、子どもにとってきっと大切だ。
朝早くに車で出発して5~6時間の移動は子どもにはさぞ退屈だったに違いない。それでも、到着してすぐ膝に乗せて頬ずりをし、小遣いをくれる祖父母のことが大好きだった。今は、自分の子どもたちを連れて無人の空き家を訪ね、墓参りをしてくれている。長時間の移動は決して無駄なことではなかったと思う。
連休は飛行機が混むから―と3月末に孫たちが帰省した。最年長はもう中学生だ。背丈はおじいちゃんとほぼ同じになった。第2次反抗期の口数の少ない少年だ。小一時間、2人だけの時間があり学校や友人のことを話した。「将来、何になる?」は愚問だった。反省している。秘密の話も少しした。「じいちゃんは口が固いから」と言うとうれしそうに笑った顔は、数年前までと同じだった。(水)