安平町は2023年6~12月に実施した農福連携試験導入事業の実績をまとめた。障害者が町内農業者の作業に従事する初めての試みで、ジャガイモの収穫やカボチャの選別など36項目のうち6割以上の作業で問題がないと評価された。一方で、作業効率への懸念も指摘され、町は農作業の人員確保と障害者の多様な働き方の両立を目指し、合意事項の明文化を促す方針。
今回は、札幌市内の福祉事業者を通じ、障害者と職業指導員が2人一組となり、実証試験に参加した。36項目のうちカボチャの肥料散布やジャガイモの収穫など24項目で「問題ない」とされた一方、トマトの収穫やキュウリの除葉など12項目で「作業に当たって注意が必要」と評価された。
作業を見た農業者からは「まじめに一生懸命やってくれる」、「力のいる作業も頼めて助かった」と好意的な意見がある一方、「人数を(多く)頼むと固まって作業しようとする人がいる」「車座になって談笑していた」など、効率や基本的な教育を求める声も上がった。
町は「農業者側は経営上の観点からコスト意識が働き、福祉事業者側は就労者の作業効率の違いを人員の調整で埋め、全体としての作業量を確保しているという違いが見られた」と分析。事前協議で互いの価値観への理解を深める必要があると指摘し、今後は「農業者と福祉事業者が合意事項を契約書に記載するなど明文化し、連携の取り組みが定着、拡大するよう期待したい」としている。