街の書店

  • ニュース, 夕刊時評
  • 2024年4月25日
街の書店

  「書店の減少を食い止めろ」。4月9日の本紙文芸欄で、こんな見出しの記事が掲載された。全国的に街の書店が姿を消す中で、国がその対策に本腰を入れ始めたという。音頭を取っているのが経済産業省ということに多少の違和感は感じるものの、その成果に期待は高まる。

   ただ、そうのんびりともしていられないのが、全国の書店の状況だ。出版文化産業振興財団の調査によると、新刊を販売する書店がゼロの市町村は、2022年9月で26%を占める。北海道も30%以上だ。幸いに苫小牧はそいう状況ではないものの、決して楽観はできない。

   同僚の若手、中堅記者に聞いても本を読むのはいずれも紙の本ではなくて、タブレットやスマートフォンを使う。仮に本を購入する場合も地域の書店ではなく、ネットを使うケースが多い。新刊本に至っては図書館が複数の本を貸し出すため、買わずに借りる読者もいて、少なからず書店に影響しているとの指摘もある。

   経産省は図書館との関係整理も含め、書店関係者らとの車座集会で経営の成功事例などを聞き取る。読書人口を増やすことの効果は大きいが、簡単ではない。パラパラページをめくりながら、読む本を探す。あのちょっとした楽しみを感じられる書店を無くしたくはない。(昭)

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