むかわ町洋光の鵡川ししゃもふ化場で、シシャモのふ化が進んでいる。昨年、29年ぶりに休漁し、資源回復に全力を挙げる鵡川漁業協同組合は、同年11月に小型定置網で捕獲した親魚2591匹を養魚池に収容。産卵した卵は583万粒とされ、今後、1週間から10日ほどでふ化が完了する見込み。仔魚は鵡川に放流され、太平洋に向かう。
同ふ化場を管理運営する同漁協によると、2023年11月に河口から1キロ上流の3カ所に設置した小型定置網(フクベ網)で捕獲したシシャモの親魚は7097匹。22年の2133匹に比べ3・3倍に増え、遡上(そじょう)数も22年より10万匹多い13万5000匹と推定される。
しかし、18年の捕獲数8万1619匹(推定遡上数89万1000匹)、19年の5万4928匹(同57万8000匹)に比べると1割前後にとどまっており、資源回復にはほど遠い現状。シシャモ漁はふ化して1年半後の魚が対象で、今季は22年にふ化した魚が対象のため、同ふ化場は「今年も厳しい漁獲量となる可能性がある」としている。
仔魚は6~7ミリほどの大きさで、排水とともに鵡川へ自然放流される。ふ化場の管理に携わる同漁協指導事業部の工藤智さん(68)は「今回放流した仔魚は25年に漁獲対象となる。漁獲量の予測は難しいが、今後もシシャモ資源の維持に努めたい」と力を込めた。
鵡川ししゃもふ化場は、シシャモの良好な産卵環境の拡充、資源の安定を目的に22年11月に稼働した。事業費は約7億6800万円。一級河川の鵡川から直接取水し、自然に近い環境を実現。養魚池を4カ所備え、捕獲した親魚が産卵した後、卵の管理を行う。年間の放流1億匹、18トン相当の資源確保を目標にしている。