はしかの流行に注意 ワクチン徹底が鍵 はしかを広めないために

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  • 2024年4月25日
はしかの流行に注意 ワクチン徹底が鍵 はしかを広めないために

  麻疹(ましん、はしか)の感染報告が世界的に相次いでいる。国立感染症研究所(東京都新宿区)によれば、今年に入ってからの国内感染者数は4月9日時点で計22人に上り、すでに昨年1年間の約8割になった。米国や欧州などからも多くの報告が上がっている。

   原因についてKARADA内科クリニック五反田(同品川区)の佐藤昭裕院長は「渡航者による海外からの持ち込みに加え、コロナ禍でワクチン接種率が下がったことが考えられます」と話す。

   ▽風邪のような初期症状

   麻疹は、麻疹ウイルスが起こす感染症だ。約10~12日間の潜伏期間を経て発症し、発熱、喉の痛み、せき、鼻水の風邪症状が2~4日ほど続く。その後一時的に熱が少し下がるが、半日~1日の内に発疹が表れ、熱が39~40度程度に上がる。高熱が3~5日間ほど続き、その後は発疹が徐々に改善して快方へ向かう。

   「初期段階では風邪と見分けがつきにくいですが、目が充血する結膜炎の症状が出ていれば、麻疹を疑うヒントになります」

   治療は対症療法で、解熱剤やせき止め薬が処方される。重症化すると肺炎や脳炎を合併し、命に関わるケースもある。

   空気感染、飛沫(ひまつ)感染、接触感染のいずれも起こる。「免疫を持たない集団に感染者1人が何人うつすかを示す基本再生産数は16~21人で、インフルエンザの10倍近い強い感染力があります」

   ▽生まれた年代で違う接種歴

   予防策は徹底したワクチン接種だ。2回の接種でほとんどの人が免疫を獲得できる。現在は1歳と5~6歳の頃、2度の接種が行われるが、生まれた年代によって幼少期の接種回数が異なるため、まずは母子手帳で確認するのが重要だ。「問題は接種回数0回か1回で、かつ感染経験もない人です。その人たちが、麻疹を発症した人(発症1日前から感染し得る)と接触した場合、72時間以内であれば、緊急的にワクチンを打つことで発症を予防できる可能性はあります」

   家族や他の人にうつさないための予防は、空気感染するため極めて難しく、何といってもワクチン接種が重要だ。また医療機関にかかる際、麻疹が疑われる場合は必ず事前に連絡を入れ、移動には公共交通機関を使わない。さらに「コロナ禍で、人にうつさないために体調の悪い時は仕事などを休んだように、麻疹でもぜひそれを実践してください」と佐藤院長はアドバイスしている。

  (メディカルトリビューン=時事)

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   KARADA内科クリニック五反田の所在地は、郵便番号141―0031 東京都品川区西五反田1の2の8 FPG links GOTANDA 10階。電話03(3495)0192

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