世界各地の先住民族の先住権について考える講座が20日、白老町の白老生活館で開かれた。講師は、十勝管内浦幌町の先住民族団体が地元の川でサケ漁をする先住権の確認を国などに求めた行政訴訟で原告代理人を務める市川守弘弁護士。町民ら約50人が熱心に耳を傾けた。
白老アイヌ協会(山丸和幸理事長)と一般社団法人アイヌ力(宇梶静江代表理事)の共催。
市川弁護士は先住権について、道内各地域にある「小さな集団(コタン)に属する権利」と説明。個人の権利と分けて考えていくべきとし、「国は『現在コタンは存在しない』として集団の権利を認めていない」と解説した。
札幌地裁が18日、同行政訴訟で原告の請求を退けたものの、判決の中で憲法13条が保障する「文化享有権」を認めた点については「画期的だった」とする一方、「原告が主張する漁業権は財産権の範囲内で『固有の権利ではない』と判断したのは不十分」と指摘した。
市川弁護士は、日本が2019年に商業捕鯨再開のため「(捕鯨は)わが国固有の伝統と文化」として国際捕鯨委員会(IWC)を脱退したことを例に挙げ、「誰しも自分の事として考えていくことが大切」と訴えた。
先住権について語る弁護士の市川さん