入学したばかりの生徒たちを迎えて、早くも1週間が過ぎる。まだ大きめの制服に袖を通してバス停に並ぶ彼らを見て、また4月が来たのだと改めて思う。新しい友人たちとの会話に花を咲かせて笑う表情につられて、不思議とこちらも楽しい気分になる。新生活のみずみずしさが、桜より先に季節を彩る。
高校では新入生の歓迎会が開かれた。生徒会の準備した企画の中で、教職員を紹介するコーナーがあった。体育館のプロジェクターに映し出されたスライドには、先生方の名前と写真と好きな曲、好きな言葉などが書かれている。その中で特に僕の目を引いたものは、「高校生の頃の将来の夢」だった。イラストレーターや駅員、野球選手、喫茶店のマスター。こちらの勝手なイメージではあるが、それぞれの仕事姿を想像しては、似合いそうだとか意外だとか、一人で妄想を膨らましていた。実際に進む道がたとえ違っていても、掲げた夢の中には当時好きだった時間や空間がたくさん詰まっている。
ささいな寄り道や、思い掛けない出会いによって、自分のなりたいものは徐々に形を変えていく。思い描いた通りに進んでいくことはほとんどないから、掲げた夢や目標は知らないうちに形を変え、それぞれの生き方も変わっていくのだと思う。
「夢は見るものではなく、かなえるものだ」とかつて名言を残したスポーツ選手がいたけれど、そのかなえ方はきっとたくさんあるはずだ。夢をかなえた人たちの輝きと同じくらい、かなえられなかった夢を別の形で実現させようとしている人たちの声や姿に励まされる。好きだと感じた時間を大切に、出会いの中で失敗や挫折を語り合いながら、常に夢を持ち続けられる人でいたい。
(厚真町地域おこし協力隊)