新たな感染症危機に備えた「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」改定案の全容が19日、判明した。新型コロナウイルス対応の反省を踏まえ、国が必要に応じて地方自治体などに総合調整・指示を行うと明記。感染対策を「柔軟かつ機動的」に切り替え、社会経済活動への影響軽減を図ると記した。平時から自治体と医療機関が協定を結び、流行を想定した訓練を積むことも盛り込んだ。
行動計画は2013年に策定され、抜本改定は今回が初めて。政府は24日の対策推進会議で改定案を提示し、パブリックコメントを経て、6月にも閣議決定する考えだ。
コロナ対応では、国・地方の権限の線引きが曖昧で、感染対策が混乱する場面もあった。こうした教訓から、改定案では政府が総合調整・指示に乗り出す具体的なケースを例示し、営業時間短縮をはじめとする行動制限の内容に自治体間でばらつきが生じる場合などを挙げた。
感染封じ込めを図る対応期(有事)には、医療の逼迫(ひっぱく)回避に必要な場合に「まん延防止等重点措置や緊急事態宣言の実施を検討する」と明記。一方、流行の長期化による社会経済活動へのダメージを想定し、ワクチンなどが普及すれば「基本的な感染症対策への速やかな移行」を進める方針を示した。
また、新型インフルや新型コロナウイルス以外の感染症の拡大も念頭に、準備期(平時)の取り組みの充実を図った。国と自治体は平時から連携体制の確認や訓練を実施。都道府県と医療機関も病床確保などに向けた協定を結び、研修などを進める。
ワクチンに関しても、平時から開発・製造体制を整え、接種に携わる医療従事者の確保に向けた考え方を整理する。流行への初動期には国内外の研究機関と連携を強化し、海外製ワクチンも確保する。
政府は偽・誤情報の拡散を監視し、科学的知見に基づく説明に取り組む。国と都道府県が協力し、マスクや医薬品、医療用器具の備蓄を推進する。