中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の特別部会は19日、公立学校教員の待遇改善や労働面での負担軽減に関する素案を示した。残業代の代わりに月給の4%を上乗せして支給している「教職調整額」を「10%以上」に引き上げるよう提言。教科担任制の小学校3、4年生への拡大や、若手教員をサポートする新たなポスト創設も求めたほか、全教員が時間外勤務を月45時間以内とする目標を掲げた。
長時間労働が常態化している教員の給与を増やすとともに勤務時間を縮減し、人材の確保につなげる。特別部会は昨年6月から議論を開始。来月に総合的な方策として取りまとめる予定だ。教職調整額の増額に関し、文科省は教職員給与特別措置法(給特法)改正案を来年の通常国会に提出することを視野に入れている。
教職調整額は1972年施行の給特法に基づく制度。残業代を支払わない仕組みが長時間労働を助長しているとの指摘がある。特別部会は制度の抜本的な見直しも議論したが、現行の枠組みを維持した上で調整額を引き上げることにした。増額となれば約50年ぶり。
特に業務負担の大きい学級担任に対する手当を手厚くし、長時間勤務が顕著な校長や教頭ら管理職の待遇も改善する必要性を示した。
素案には教員の負担軽減策も盛り込んだ。小学校5、6年で導入している教科担任制を3、4年に拡大し、学級担任の担当教科数を減らす。校長や教頭ら管理職を補佐する「主幹教諭」と一般の教諭の間に若手の指導役となるポストを新設し、新卒教員は負担の大きい学級担任ではなく、副担任に配置する方針も打ち出した。