白老町立国民健康保険病院に3月に着任した西村光滋内科医長(56)は16日、昨年12月に出版した自著「地域医療総合医のカルテ」2冊を町教育委員会に寄贈した。西村氏は「白老で地域医療に取り組む思いを皆さまに伝えられたら」と語る。寄贈書は町立図書館で1冊を保管し、もう1冊を今月中に貸し出しを始める。
著書には、一人ひとり異なる背景を持つ患者に対して最善の治療を自問し、悩みながら働く自身の日常の診療が記されている。患者からは見えない医師の仕事内容を医師自らがつづったことで、自分の仕事を「価値あるもの」としていきたい医学生や医師、医師を目指す中高生や保護者に地域医療の課題と魅力を伝える。四六判、172ページ。日本橋出版発行。
同日は西村氏が町役場を訪れ、「白老で何を考えて働いているか知っていただくことで医療への信頼を取り戻したい」と著書を手渡した。受け取った安藤教育長は「本町は高齢化が進んでおり、本を通して自身の健康を見詰め直したり町立病院に親近感を持つ機会になるのでは」と語った。
西村氏は大阪市出身。愛知医科大医学部を卒業後、神戸大学病院などを経て、2022年から八雲総合病院で勤務。厚生労働省は20年度から「総合的な診断能力を持つ医師養成の推進事業」に力を入れており、特定の臓器・疾患に限定しない多角的な診療を行う部門として新たに診療科に加えた「総合診療科」分野に精通している。