健診の意義

  • ハスカッププラザ通信, 特集
  • 2024年4月16日
市保健センター=旭町2
市保健センター=旭町2
苫小牧市保健センター長 清水力
苫小牧市保健センター長 清水力

  今月から毎月1回、「ハスカッププラザ通信」を連載することになりました。ハスカッププラザは苫小牧市の指定管理を受けて市保健センター、市呼吸器内科クリニック、今年4月から市まちなか交流センター(通称ココトマ)を運営する一般財団法人です。

   皆さまに最もなじみのある市保健センターは(1)健康増進事業(2)健診事業(3)産業保健事業―の三つを主たる業務としています。この連載では健診を含めた健康に関する話題について書いていきたいと考えています。

   最初に健診(検診)についてですが、法律上の立て付けから大きく三つに分けられます。労働安全衛生法(安衛法)で義務付けられている、いわゆる会社勤めの方が受ける健診、高齢者医療確保法による特定健診(主に自営業・無職の方が対象)、健康増進法に基づく各種がん検診、歯周疾患検診、骨粗しょう症検診等です。

   それに加えて私たちの施設では人間ドックや健診に付随して受診者が任意で選択できるオプション検査を用意しています。

   健診に対する考え方は受診者それぞれお持ちと思いますが、受診時点での健康状態を知るという意味で、車における車検のようなものと考えれば良いと思います。周知のように、疾患については早期発見・早期治療が重要とされていますが、糖尿病や高血圧症といった生活習慣病はいきなり治療の必要な段階で発症するわけではなく、徐々に進行し、ある程度の時間を経て治療が必要になる場合がほとんどです。

   健診では過去数回分のデータと比較することにより進行の程度や傾向を類推することができますので、これ以上悪化させないための生活習慣に対するアドバイスができます。

   ただし、忘れてはならないのは生活習慣病発症には日常生活の乱れとその方が親から受け継いだ体質(遺伝的素因)が合わさって発症するとされています。生活習慣の是正による病状の改善にも限度があり、自分でできることは生活習慣改善しかありませんので取り組む価値は十分にあると考えます。

   一方、国民の約半数ががんで亡くなられるわけですが、がん検診については受診機会を逃さないに尽きると思います。自治体補助が利用できるがん検診については、なにより受診アクセスの容易さがありますので、機会があれば、ぜひともご利用されることをお勧めします。

   事業所が行う健診項目の中に、がん検診が含まれている場合があることを覚えておいてください(例えば肺がん検診としての胸部X線写真、大腸がん検診としての便検査、胃がん検診としての胃バリウムないしは胃内視鏡検査など)。

  (苫小牧市保健センター長)

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   地域に密着した保健・医療・福祉サービスを提供し、生涯健康な生活を送れる社会づくりを目指すハスカッププラザ。市民に役立つ情報を詳しく、分かりやすく、市保健センター長が伝えます。毎月第3火曜日掲載。

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