意思の疎通などが難しい高齢の脳卒中患者を対象に、退院先を決める際の必要な情報をまとめた「意思決定ガイド」の有効性を検証した結果、患者の意思決定への参加率が向上したと、富山大などの研究グループが発表した。
意思決定ガイドは、治療やケアなどを行う際、希望に沿ったより良い意思決定を患者にしてもらうための補助ツールで、今回は退院先を決める患者向けに、使えるサービスや入れる施設、それぞれの長所や短所などをまとめたガイドを作成した。研究グループは、脳卒中患者99人について、本ガイドを提供するグループとしないグループに分け、入院時と約2カ月後の退院時にアンケートを行った。
その結果、ガイドを提供したグループでは、退院先を選択する意思決定に参加する患者の割合が多かった。特に、独居の人で意思決定の満足度や参加率が高まる傾向にあった。ただ、意思決定に伴う葛藤を軽減したり、意思決定に際し、患者自らが積極的な役割を果たしたりする効果は認められなかった。
(メディカルトリビューン=時事)