免疫を活性化してがん細胞を攻撃する、オプジーボなどのがん免疫治療薬の有効性を、血液検査から高い確度で予測する手法を近畿大と京都大などの研究グループが発見した。オプジーボなどの免疫治療薬は高額な一方、治療の効果がある患者は全体の1~2割にとどまるため、研究グループは早期に治療薬の有効性が分かれば、医療費の削減につながるとしている。論文は2日付の国際臨床医学誌電子版に掲載された。
オプジーボなどのがん免疫治療薬は、免疫細胞の表面にあるたんぱく質「PD―1」などと結び付き、そのブレーキ作用を妨げることでがん細胞への攻撃力を高める。
研究グループは、オプジーボなどが治療対象としている非小細胞肺がんなどの患者について、投薬前後の血液を詳しく分析。PD―1のように免疫機能を抑制するたんぱく質「免疫チェックポイント分子」の濃度と治療薬の有効性との関係を調べた。
その結果、免疫チェックポイント分子のうち、可溶性の「sPD―L1」と「sCTLA―4」の両方の濃度が低い患者では、両方とも濃度の高い患者と比べてオプジーボが効く期間が3倍長かった。
免疫細胞が活性化され続けると「疲弊」して攻撃能力が低下し、血中の免疫チェックポイント分子濃度が高くなる。このため免疫チェックポイント分子の血中濃度と治療薬の有効性に相関関係が現れるとみられるという。
近畿大医学部の林秀敏教授は「(免疫療法が)効かない患者は、早い段階で別の治療法にフォーカスできる」と話している。