中東情勢が一段と悪化している。
13日、イランがイスラエル領土をミサイルなどで大規模に直接攻撃した。シリアのイラン大使館への攻撃に対する報復と主張している。ここに至るまで、互いに自国の行動を正当化したり、強い言葉でけん制し合ったりしていたが、遂に懸念されていた事態に及んでしまった。
イスラエルは、イスラム組織ハマスに対する戦闘と言いながらパレスチナ自治区のガザに激しい攻撃を展開し、3万人を優に超えるパレスチナの犠牲者が出ている。そして今度はイランのイスラエル攻撃。それぞれ経緯や正義、正当性を訴えるが、ひとたび戦火が噴けば犠牲は結局、市民に集中する。イスラエルでは少女が負傷したとの情報もある。終わらないロシアのウクライナ侵攻もそうだが、戦闘の様子を映像や画像で見るたびに市民の犠牲への悲しみと怒りで心拍は早まり恐怖感が膨満する。今回の攻撃では歓喜するイラン国民の様子が報道されていた。願うのは両国の国民感情、事態の鎮静化。危機の拡大の現実に不安が募る。
イスラエルの出方次第で緊張が極限化する可能性がある。独自の立ち位置を取れる日本は、武力を行使した両国を非難しながら、時に適した距離感を両国が取るために必死に汗をかいてほしい。(司)