【イスタンブール、ワシントン時事】イランは13日夜から14日未明にかけ、イスラエルへ約350の無人機やミサイルによる大規模攻撃を行った。1日の在シリア大使館空爆への報復と主張している。イスラエル軍は「99%を迎撃した」と発表。イスラエルのメディアによると、ネタニヤフ首相らの戦時内閣は14日、イランへの対応策を協議したが、結論は出なかった。
イラン側は今回の攻撃で幕引きを図り、イスラエルとの全面衝突を回避したい構えだ。だが、イラン本土からの前例のない対イスラエル攻撃は、パレスチナ自治区ガザでの戦闘を機に高まった中東の緊張を一段と激化させる恐れもある。
イスラエル軍によると、約170機の無人機、30発以上の巡航ミサイルが飛来したが、領内に到達する前に迎撃した。120発以上の弾道ミサイルも撃ち込まれ、数発が領内に達した。攻撃で女児1人が負傷し、南部の空軍基地が軽微な損害を受けた。イラン以外にイエメンやイラクなどからも攻撃が行われた。
米軍は戦闘機やミサイル駆逐艦を周辺地域に展開し、英軍などとイスラエル防衛を支援した。米政府高官によると、米軍は機超の無人機、4~6発の弾道ミサイルを撃ち落とした。
イランの精鋭「革命防衛隊」は、多数のミサイルと無人機でイスラエルを攻撃したと認めた。作戦を「真の約束」と名付け、声明で「米国やシオニスト(イスラエル)からのいかなる脅威にも釣り合いの取れた対応をする」と警告した。大使館空爆では革命防衛隊の司令官ら7人とシリア市民が死亡した。
イランのバゲリ軍参謀総長は14日、「作戦は終了した」と主張。アブドラヒアン外相も「米国には限定的対応だったと説明した」と述べた。今後はイスラエルの出方が焦点となるが、ライシ大統領は「イランに対する新たな冒険は一層重大な反撃を招く」とけん制した。
バイデン米大統領は13日、イスラエルのネタニヤフ首相と電話会談し、イスラエル防衛への「揺るぎない関与」を強調。先進7カ国(G7)首脳も14日にテレビ会議を開き、イランの攻撃への「強い非難」で足並みをそろえた。ただ、米高官は14日、イスラエルが反撃しても米国は参加しないと明言した。