厚真町の映画プロデューサー、小町谷健彦さん(39)は、まちの記憶を動画で残そうと、町内の民家に残されている8ミリフィルムを集め、編集してまとめる地域映画の製作に取り組んでいる。2月に有志の団体「あつまフィルムコモンズ」を立ち上げ、町民が撮影した8ミリフィルムと団体のメンバーを募集している。
小町谷さんは札幌市出身。東京大学中退後、東京都の映画制作会社でドキュメンタリーの作り方を学び、2019年にオホーツク管内津別町でまちづくり会社に就職した。厚真町には21年4月、札幌に近く、起業の支援が充実していることから移住した。
記憶の伝承に関心があり、表現手法などを調べる中、全国で地域映画の製作を手掛けている映画監督の三好大輔さんと23年9月に知り合い、意気投合。「一緒に何か作ろう」と、8ミリフィルムを住民から集め、デジタル化した映像を基に、住民と協働で地域映画を製作するあつまフィルムコモンズを2月21日に設立した。
同日は町総合福祉センターで三好さんが監督を務めた地域映画「まつもと日和」(23年、73分)を上映し、士気を高めた。メンバーは町内外の16人(9日現在)。
8ミリフィルムは、主に1960~80年代に普及した映像記録媒体。子どもの成長記録や地域のイベントなどを撮影し、ホームムービーとして親しまれていたが、時代が進むにつれ新しい撮影技術が登場し、現在はほとんど見られなくなった。
同団体の活動を知り、町民からは徐々に8ミリフィルムが寄せられている。運動会や農作業、ジンギスカンパーティーなどが映っており、フィルムはデジタル化した後に返却し、希望者にはUSBデータを渡している。
小町谷さんは「映像を見た人たちが世代を超えて語り合い、町の記憶を語り継ぐような作品を作りたい。自宅などに8ミリフィルムのある方は連絡してほしい」と呼び掛けている。
問い合わせは小町谷さん。 携帯電話080(1035)7536、メールアドレス info@fuchi.art