3月8日。以前から興味を持っていた支笏湖の水質調査に、調査会社と操船を担当するオーシャンデイズのオーナー板谷貴文さんの計らいで同行させていただきました。
出発前に、いざという時に備えてドライスーツ(水が侵入しない断熱スーツ)を着込み、気温マイナス5度、快晴、微風の条件の下、寒風を引き裂いてボートで調査地点(GPSで定められた2地点)に向かいました。
調査は北海道から委託された民間調査会社の方々が行います。まずは「透明度調査」です。直径30センチの白い円盤「セッキー板」をロープでゆっくり水中に降ろします。白い円盤は沈むにつれて青く変化し、やがて見えなくなります。水上から見て、円盤が見えるぎりぎりの深さを測定します。実は、この測定方法は100年以上前から用いられている測定法です。この日は、2カ所とも20メートルを超える結果でした。もう一つの測定は「水の成分分析」です。直径20センチ、長さ50センチほどの白い筒状の容器で採水します。採水は湖面直下と水面下20メートルで行い、それぞれの水を持ち帰り分析します。
この調査は年間4回行われ、その調査結果は道庁のホームページに示されます。さらに、これらの結果は環境省に送られ、その結果の一部は全国の他地域と比較されます。特に、CODの低さ(水中の有機物の量の少なさ=水のきれいさ)を示すランキングでは支笏湖は全国2位となっています(2022年度結果)。一方、透明度に関しては近年全国で統一した調査結果は発表されていないようです(1991年調べで全国4位)。
いずれにしても、支笏湖は水質、透明度ともに全国トップクラスの湖という点で間違いありません。その意味で、支笏湖を地域の宝として守る努力をしていかねばならないと強く感じる機会になりました。
(支笏湖ビジターセンター自然解説員 榊原茂樹)