炭水化物は、私たちの体や脳のエネルギー源としての役割を持つ、欠かすことができない栄養素です。ご飯、パン、麺類、イモ類、果物や砂糖などに多く含まれます。
炭水化物は糖質と食物繊維の総称ですが、多くは糖質の栄養素です。糖質1グラムは約4キロカロリーのエネルギーを持っています。食べ過ぎは過剰なエネルギー摂取になり、体脂肪として体内に蓄積されて肥満につながる可能性があります。
2016年の大阪府の健康・栄養調査では、肥満の人は昼食にうどんとかやくご飯、パスタとパンなど、主食を2種類同時に食べる「主食の重ね食べ」をする頻度が多いと報告されています。
減量には糖質摂取を減らした方がよいということも言われていますが、国の基準では炭水化物の摂取目標量は1日のエネルギー摂取量の50~65%とされています。ご飯やパンなどを抜いたおかず中心の食事では、この目標値に到達できない可能性が高いです。主食、主菜、副菜を組み合わせて食べることが大切です。
特に運動をしている場合、炭水化物の摂取が大切です。息が上がって隣の人と話ができないくらいきつい運動をしているときは、主に炭水化物をエネルギー源として利用します。ですから、炭水化物不足の食事では運動の強度を上げにくくなると考えられます。
学校で部活動をするなど運動量が多い方は、主食を欠かさず食べることはもちろん、補食におにぎりやロールパン、バナナなど炭水化物の多い食品を取り入れるとよいでしょう。
米やパンが苦手なら、ポテトサラダやパスタサラダを食べたり、汁物に麺類やジャガイモ、サツマイモを入れたりしてもよいです。
炭水化物は、肥満予防の点からは過剰な摂取は控えたいのですが、毎食食べていただきたい栄養素です。適量を心掛けましょう。
(保井智香子・立命館大教授、イラストはカモシタハヤト)