職業差別と受け止められかねない発言で批判を受け、退職届を提出した静岡県の川勝平太知事は10日午後、県庁で記者会見した。当初は6月県議会で辞職する意向だったが、前倒ししたことについて、「私の発言で県民に大変な迷惑がかかっている」と説明し、「迷惑をかけたことは誠につらい。なるべく早く去ることが県民のためになる」と述べた。
川勝氏はこれまで、辞職を決断した理由にJR東海が目標としていたリニア中央新幹線東京・品川―名古屋間の2027年開業を断念したことも挙げていた。同日の会見でも改めて言及し、「(開業まで)これから最低10年以上かかる。一つめどが見えた」と指摘。「南アルプス(の環境)を保全するのは国策だ。国際的な日本の責務だ」と強調した。
川勝氏は1日の訓示で、新規採用職員に対して「野菜を売ったり、牛の世話をしたり、物を作ったりとかと違って、基本的に皆さま方は頭脳、知性の高い方たち」と発言。批判が相次ぎ、6月県議会で辞職する意向を示した。
これに対し、県議会の自民、公明両党の会派は、県政運営に支障が生じないよう早期辞職を要求。川勝氏は10日午前、中沢公彦県議会議長に退職届を提出した。地方自治法の規定により、30日後の5月10日午前0時に自動失職する見通しだ。
会見で、川勝氏は「(辞職は)なるべく早くと思っていた。県政の空白を短くする(ためだ)」と語った。川勝氏の後任を決める知事選は、5月9日告示、26日投開票の日程で実施される公算が大きい。