白老町の民間有志でつくる「しらおい防災マスター会」(吉村智会長)は8日、社台生活館で行われた介護予防サロンで、カードゲーム形式の防災教材「クロスロード」を紹介した。参加した町民ら9人は、状況が刻々と移り変わる中、究極の選択を迫られる被災時の対応を追体験した。
町内のNPO法人ウテカンパ(田村直美代表)が「介護予防時代の防災について」をテーマに開いた。
「クロスロード」は阪神淡路大震災で災害対応に当たった神戸市職員へのインタビューを基に、防災関係の有識者らが開発した教材。カードに「避難所担当の職員」「主婦」「漁師さん」などの役割が書かれ、職員には「3000人いる避難所で2000食を確保した。食糧を配るか」といった差し迫った状況が出題される。参加者は「自分がもし職員だったら」「漁師だったら」と想像しながらイエスかノーかの判断をしていく。
母親が学校に預けた子どもに会いに向かう路上で家屋の下敷きになって助けを求める人を見つけた状況では、「助けるか。子どもを優先するか」のジレンマに「見捨ててはおけない」「やはりわが子が優先」と意見が分かれる場面もあった。
有識者の許諾を得て町民用にカードを作り直した民部吉治事務局長は「正しい答えはない。発災時の心構えとして多くの価値観や視点を持つことが重要」と教材の意義を訴える。
カードは同会が所有しており、町内会や事業所などでの貸し出しに応じる。問い合わせは民部さん 携帯電話080(6099)2130。