白老町の地域おこし協力隊員として2人が採用され、8日に町役場で委嘱状が交付された。水産業振興担当で空知管内新十津川町出身の川下正己さん(66)と農畜産業振興担当で函館市出身の滝田圭さん(46)で、任期は2027年3月末までの約3年間。
川下さんは前住地の伊達市で、ヒラメやマツカワガレイの陸上養殖事業などを手掛けた経験を生かし、町でも今年度着手する「閉鎖循環型陸上養殖試験導入事業」で先導的役割を担う。今年度は陸上の閉鎖空間で海水を循環させて魚を養殖するシステムを軌道に乗せ、秋以降にも種苗生産体制を構築したい考え。「将来の町の産業化につなげる成果を3年間で示したい」と意気込む。
滝田さんは東京での勤務経験を経て東日本大震災を機に帰郷し、起業。企業再生やブランディング、教材開発の会社を経営する手腕をフル活用する。白老町のブランド牛「白老牛」の「生産者と市場の橋渡し役」として、市場が求めるものと生産者が可能なことを把握し、ブランド力や管理体制の構築と強化、情報発信につなげていくという。「求められる魅力は近くにあるが、現場からは見えにくいこともある。外部の視点で白老ならではの魅力の再発見ができたら」と力を込める。
委嘱状を手渡した大塩英男町長は「本町の基幹産業である1次産業に力添えを頂き、ありがたい。今年度は町制施行70周年の節目であり、さらなる発展に向けて尽力を」とエールを送った。
町は2016年度以降、今回の2人を含め隊員23人を受け入れ、現在は5人が活動中。退任した18人のうち11人が町内に定住し、起業したり、独自のアイデアで新たなレジャーを町民らに提供したりしている。