とまこまい広域農業協同組合(JAとまこまい広域)は今年度、海に生息するヒトデを畑にまき、シカなどによる食害の防止を試みる。強い臭いを放つヒトデは、農業者にとって害獣の忌避剤となるためで、鵡川漁業協同組合の協力を得て約6トンを無償で受け取った。漁業者には漁業被害を発生させる厄介者の存在であることから、農業者と漁業者相互に有益な取り組みとなることが期待されている。
ヒトデは、強い臭いに虫よけや害獣よけ効果があるとされており、乾燥させて砕いた粉末を詰め込んだ商品などが忌避剤として販売され、農業者などに活用されている。一方、貝類の食害を発生させるほか、漁網に掛かると漁獲効率を低下させるため、漁業者は廃棄物として処分している。
JAとまこまい広域と鵡川漁協は日ごろから、町商工会や農協などの各青年部でつくる「あつま新鮮組」の活動を通じて連携しており、ヒトデの有効活用について模索。同漁協で大量に捕獲した際、関係者で相談し、農業者に提供することを決めた。
安平町の農業、小西和也さん(58)は3月15日、トラックを運転して同漁協厚真支所を訪れた。ヒトデは200~300キロ入りの袋が26袋あり、鵡川漁協の漁業者4人がフォークリフトで積み込んだ。小西さんは「畑にシカが入るので困っている。乾燥させたヒトデをまいて来なくなるか、効果を見たい」と話した。
同漁協でのヒトデの捕獲量は、2018年9月の胆振東部地震以降、減っていたが、今季は増えてホタテ貝への食害も見られたという。同漁協は「今まで(コストをかけて)処分していたヒトデの活用につながり、農家の方に利用してもらえると大変ありがたい」としている。