2023年度に北海道文化賞とアイヌ民族文化財団の第27回アイヌ文化賞をダブル受賞した白老町在住の絵本作家でアイヌ文化伝承者、宇梶静江さん(91)を祝福する会が6日、白老生活館で開かれた。宇梶さんと親交のある83人が町内外から駆け付けて祝った。
アイヌ民族の生活文化継承に取り組む一般社団法人アイヌ力主催。
同法人の副理事長で白老アイヌ協会の山丸和幸理事長(75)が「100歳になっても若い人たちを導いて」とあいさつ。祝杯を挙げた後、大塩英男町長が「町民の誇り。今後も町の発展のために指導と鞭撻(べんたつ)を賜りたい」と述べた。宇梶さんは「白老は町の皆さんも行政も温かく、自分のような老人にも優しい。ウポポイ(民族共生象徴空間)で働く若者たちが生き生きと文化を育てていることも実感できる。北海道に来て良かった」と語った。
宇梶さんは2021年に埼玉県白岡市から白老町に移住。「アイヌ力」を設立し、アイヌ文化に関する各種講座を開催する。古布を重ねてアイヌ文様刺しゅうを施し、神謡の情景を表現する「古布絵(こふえ)」の世界を切り開くなど数々の実績があり、二つの文化賞の受賞者に選ばれた。
席上では同じルーツの歌手豊川容子さん(45)らが伝統歌謡を披露したほか、宇梶さんが自作の古布絵を白老生活館に寄贈した。
参加した苫小牧アイヌ協会の作田悟会長(76)は「アイヌ民族の存在を東京から社会に訴えた第一人者。今までの活動には感謝しきれない」と目を細めた。