辞職

  • ニュース, 夕刊時評
  • 2024年4月6日
辞職

  報道に携わる者が、取材や記事作成に当たって開く、一冊の本がある。本社の場合は提携している時事通信社の「用字用語ブック」だ。カタカナ語のまん延など言葉の乱れが指摘されるようになって久しいが、この本が、時に揺れ、迷う記者の感覚に、一本の筋を通してくれる。中でも「差別語・不快語」の項の書き出しは「基本的人権を尊重し社会的差別の解消に向けて努力することは報道に携わる者の重要な使命―」と格調が高い。

   静岡県の川勝平太知事が1日、新規採用職員への訓辞で「毎日毎日、野菜を売ったり、牛の世話をしたり、物を作ったりとかと違って、基本的に皆さま方は頭脳、知性の高い方たち」と述べた。県庁には翌日夕方までに電話やメールで430件の批判が寄せられた。知事は3日の記者会見で「心を傷付けたとすれば申し訳ない」と謝罪したが。この日は発言を撤回しなかった。しかし5日には撤回してみせた。何が揺れているのだろう。

   報道によれば川勝知事は失言が多い。以前の舌禍では返上を表明した給与とボーナスを満額受け取っていたことが判明して非難されたとの報道もあった。今回も「6月議会にも辞職」と発言しているが、油断はできない。選良の服をまとっただけの愚者は、どこにでもいる。(水)

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