自民党の塩谷立・元総務会長は5日、派閥裏金事件を受けて党紀委員会が4日に決定した「離党の勧告」処分について、「事実誤認の中で下された。甚だ心外だ」と批判し、再審査請求を検討する考えを示した。国会内で記者会見した。関係者によると、地元の支援者らと相談した上で早ければ週明けに請求する方向。
離党勧告に従わない場合は「除名」となるが、再審査を請求した場合、結果が出るまで処分の効力は生じない。党規律規約によると、党紀委の処分に不服があれば党総裁に再審査を請求することができ、総務会が「相当の理由」があると認めれば党紀委が再審査する。
安倍派のキックバック(還流)を巡っては、会長だった安倍晋三元首相が2022年4月に廃止を同派幹部に指示したが、同年8月の幹部会合を経て復活。塩谷氏は会見で、同派の取りまとめ役「座長」には「23年8月に就任した」と指摘し、「当時はそういう立場になかった」と強調。22年8月の幹部会合に関し「(政治資金収支報告書の)不記載のことは全く話に出ていない」と主張した。
塩谷氏は「(岸田文雄首相から直接)『やむを得ず処分する』との言葉があれば『分かりました』と言ったかもしれない」と発言。総務会で再審査が認められなかった場合は離党勧告に応じることになるとの見通しも示した。
一方、離党勧告を受けて自民を離党した世耕弘成参院議員は5日、安倍派の参院議員との会合で「迷惑をかけた」と謝罪。4日付で地元支援者に送った文書で「厳しい状況を受け、離党を決断した。一人の議員として、国のため、地元のための仕事に汗をかきたい」と説明した。