春の訪れを告げる桜。北海道では下旬から徐々に咲き始めるよう。
道内でよく見られるのはエゾヤマザクラ。本州ではソメイヨシノで、終戦後に復興を願って植樹されたこともあり、大半の樹齢は約80年という。この木の寿命は60~80年なので、枯死を防ぐ早急な手入れや植え替えが必要になっている。
キリンビールが2月に全国402の市区町村に実施した調査では、97・2%の自治体が「桜を保全する活動が必要」と考えていることが分かった。予算や人手が足りず、十分な保全ができずにいることも明らかになり、同社は4月、保全活動をする自治体へ寄付を始めている。
桜は冬に寒いほど見事に咲いて一斉に散るので、軍歌「同期の桜」では「みごと散りましょ 国のため」と歌われ、大学入試の合否を伝える電文では「サクラサク・サクラチル」が使われた。一方、一般客に紛れた偽物の客は「サクラ」、金銭欲や性欲に訴えるメールを送って信じた人からお金をだまし取る犯罪は「サクラサイト詐欺」と呼ばれている。
国花になるほど身近な花は、良くも悪くも多様に名を使われているが、人々を魅了し続けることに変わりはない。保全にできることがあれば小さなことでも協力し、今後も花見を楽しみたい。(林)