【台北時事】台湾東部沖で3日に起きた強い地震で、台湾当局は4日、被害の大きかった東部・花蓮県で1人の死亡が新たに確認され、死者は計10人になったと発表した。15人と依然連絡が取れておらず、被害はさらに拡大する可能性がある。同県の山間部に取り残された人も705人おり、消防や警察は孤立地域の状況把握と救助作業に全力を挙げている。
消防当局によれば、花蓮では山間部の道路が土砂崩れなどで寸断された。4日は早朝からヘリコプターを飛ばし、鉱山に取り残されていた6人を救出。昼前には別の鉱山から64人が無事に車で下山するなど救助作業が進んだ。一方で、新たに680人以上が観光名所の太魯閣(タロコ)渓谷のホテルに取り残されていることが分かった。
地震は、東部沿岸を震源に3日午前7時58分(日本時間同8時58分)ごろ発生し、マグニチュード(M)は台湾中央気象局発表で7・2、日本の気象庁は7・7と推定している。台湾全土で揺れを観測し、震源地に近い花蓮では落石や建物の倒壊などで死者が出た。負傷者は北部の新北市や台北市など各地で計1099人に上った。移動中に被災し、山中で一晩を明かしたという花蓮県の女性は地元メディアに「真夜中に落石が続き、怖くて眠れなかった。どうしたらいいか分からなかった」と泣きながら語った。
現地では余震が断続的に続いており、台湾の中央通信社の集計によると、3日以降で震度5以上の地震が18回発生した。土砂崩れなどで救助活動が難航する恐れもある。
中央気象局は今回の地震を、死者2400人以上、負傷者1万人以上を出した1999年の台湾中部の地震以来「最大規模」と説明した。これまでに確認された被害が比較的抑えられていることに関し、大手民放TVBSは、建物の耐震強度が高まったことや、震源地が内陸ではなく沿岸海域だった点などを指摘した。