2018年9月の胆振東部地震をきっかけに、厚真町の有志が町民の健康維持を目的に町内で開いた「体操教室」が、活動を始めて5年過ぎた。3日に町総合福祉センターで「5周年感謝のつどい」が開かれ、参加登録者のほか、コロナ禍前まで教室の運営に協力していた浦河町の関係者らが駆け付け、活動の継続と再会を喜んだ。
教室は町本郷に住む高橋康夫さん(72)が中心となり、19年1月15日に始めた。本郷、上厚真、新町の仮設住宅に出向き、敷地内にある談話室で週1回開催。登録参加者が軽い運動をすることで、被災した町民同士の交流や健康維持に努めてきた。浦河町からはソーシャルワーカーらが参加し、有志と共に体操指導や健康相談に応じていた。
災害公営住宅が整備され、仮設住宅から移り住んだ20年秋以降、新型コロナウイルスの影響で、教室の活動は困難となった際は、高橋さんが1人でもできる運動を紹介したパンフレットを制作。参加登録者宅に投函(とうかん)し、運動を継続できるようにした。さらにボランティアのサポーターが定期的に登録者に電話をかけ、体調確認を続けた。
感染状況を見ながらタブレット端末を活用し、人数を制限して教室を続けた。23年5月にコロナが感染症法上の5類に移行すると、参加する人が増えてきて会場での開催も再開した。
この日は、オンラインも含め58人が厚真や浦河から参加。椅子に座って手足を動かす体操を行った。その後、交流会を開き、会食をしながらおしゃべりを楽しみ、感謝の言葉を述べ合った。
厚真町本郷の山口清光さん(87)は「地震後妻を亡くし、仮設住宅で暮らす中、高橋さんの指導で元気になった。浦河町の方にもお世話になった」と話す。浦河町から訪れた浦河ひがし町診療所のソーシャルワーカー、泉祐志さん(38)は、活動の継続に敬意を表し「今も元気な方と出会ってうれしかった」と懐かしんだ。
高橋さんは「元気に見える方でも、1人暮らしで1日の体調に波のある人もいる」とし、毎週水曜日に教室を開いていることに触れ、「交流しながら体を動かすことで前向きになってもらいたい」と参加を呼び掛けた。