皆さんは一日にどれくらいの野菜を食べていますか?
国は一日の摂取目標量を350グラムと定めていますが、2019年の国民健康・栄養調査では目標量を食べている人は約3割で、約7割は野菜不足でした。平均摂取量は280・5グラム。約70グラム、小鉢一つ分くらいの野菜が足りていません。
野菜はβカロテンやビタミンC、鉄、カルシウム、カリウム、食物繊維など、体の調子を整える栄養素を多く含んでいます。350グラムが推奨される理由はこうした栄養素の必要量を満たすためです。取れていない場合、栄養素も不足している恐れがあります。
色の濃い緑黄色野菜はβカロテンやビタミンC、鉄、カルシウムなどが特に豊富です。キャベツや玉ネギなど色の薄い淡色野菜に偏らず、食べるよう心掛けたいです。
野菜摂取量を増やすための工夫として、洗ってそのまま食べられるトマトやキュウリは、調理時間がかからずお薦めです。サラダも手軽に食べられますが、見た目のボリュームから感じるよりも摂取量が少なくなる傾向があります。野菜は生の状態なら両手山盛り一杯を3食分食べる必要があり、サラダのみで目標量を満たすのは難しいと思います。
ニンジンや大根などの根菜類は汁物や煮込み料理に利用でき、摂取量を増やす良い食材です。ブロッコリーはゆでるだけで食べられますし、冷凍であれば電子レンジで簡単にプラス1品になります。小松菜やホウレンソウなどの葉物野菜は、ゆでたり炒めたりするとかさが減り、量を食べられます。
野菜が苦手な方は、肉巻きやハンバーグなど肉類と組み合わせると食べやすくなることもあります。調理方法を工夫されるとよいと思います。
野菜に含まれるカリウムは、血圧を上昇させる体内の余分なナトリウムを排出するためにも重要です。積極的に野菜を食べましょう。
(保井智香子・立命館大教授、イラストはカモシタハヤト)