自民党が、派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡る関係議員の処分で、安倍派の下村博文元政調会長と西村康稔前経済産業相を「党員資格の停止」とする案を検討していることが分かった。塩谷立・元総務会長と世耕弘成前参院幹事長は「離党の勧告」とする方針。4日に党紀委員会を開催し、二階派を含め39人の処分決定を目指す。複数の関係者が2日、明らかにした。
岸田文雄首相(党総裁)は同日、麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長、森山裕総務会長と国会内で会談。次いで、森山氏、渡海紀三朗政調会長、小渕優子選対委員長らとも別途、意見交換した。
安倍派の有力議員「5人衆」の高木毅前国対委員長、松野博一前官房長官、萩生田光一前政調会長、二階派の武田良太元総務相らの処分についても協議。高木、松野両氏は党員資格停止、萩生田氏は党の役職停止とする案が出ている。
首相はこの後、首相官邸で記者団に「手続きを経て、厳しく判断していきたい」と述べた。2日夜には茂木、森山両氏と改めて会談した。
安倍派では2022年4月、会長だった安倍晋三元首相が所属議員へのキックバック(還流)廃止を指示。だが、安倍氏の死去後、塩谷、下村、西村、世耕の4氏による同年8月の協議を経て還流は継続された。執行部は、同派の座長だった塩谷氏、参院側トップだった世耕氏の政治的責任が特に重いと判断した。
離党勧告は、党規律規約が定める8段階の処分で2番目に重い。党関係者によると、処分通知書は通常、10日以内に離党届の提出がなければ、最も重い「除名」にすると記載するという。党員資格停止は3番目、党の役職停止は6番目に重い処分。
党紀委は2日、対象議員が弁明を希望する場合、4日午前までに文書で提出するよう通知した。