厚真町は、津波防災に対して行政や住民、事業者がすべき取り組みや避難体制の方向性を示した「町津波防災地域づくり推進計画」を策定した。浜厚真地区での津波避難施設(津波避難タワー)の整備や防災教育の推進など48事業を明記。ハード・ソフト両面から対策を推進し、津波発生時に町内にいる誰もが安全に避難できる仕組みをつくる。
計画は東日本大震災を踏まえ、津波防災の強化を目的としたもので、「地震・津波による犠牲者ゼロをめざし、住民・事業者・来訪者など、あらゆる人が安全に避難できる地域づくり」を基本的な方針に掲げた。
事業には、避難タワーの整備や避難路の拡幅、避難路誘導案内板などを設置する「津波避難施設整備事業」、老朽化した役場庁舎や胆振東部消防組合厚真支署の建て替え、土地利用を含めた施設の再編整備を行う「庁舎周辺等整備事業」、町内の小中学校で防災教育をする「ふるさと教育推進事業(防災教育)」などを盛り込んだ。
計画の第1期(2024~25年度)には、浜厚真地区で津波避難施設、歩道沿いの街灯、自動車避難ルートなどを整備する方針。避難タワーは24年度に設計作業を進め、25年度の着工を想定している。
課題は▽避難困難地域の解消▽防災意識のさらなる醸成▽寒冷地の避難対策―など6項目に整理。このうち、避難困難地域は、津波避難施設の整備によって一部縮小される見込みだが、同施設の平時の活用方針や避難の支障となる要因の解消などは検討を要する状況にある。町は「課題解決に向けて関係機関と連携し、継続して事業や事務の拡充に努めていく必要がある」としている。
計画の骨子案や素案は、学識経験者や住民、事業所など関係者で構成する津波防災地域づくり推進協議会を23年5月から24年3月まで開催して示し、出席者が議論を重ねた。また、23年6月から同年11月まで鹿沼や浜厚真、共栄地区、サーフィン利用者などを対象に津波防災住民懇談会を開き、参加者から出た要望も踏まえてまとめた。