白老町社台のNPO法人ウテカンパ(田村直美代表)は21日、町総合保健福祉センターで地域医療について学ぶオンライン勉強会を開いた。通信での参加者を含め約15人が医療者と地域住民による協働、共創の取り組みで親しまれる病院づくりについて学んだ。
講師は、神栖済生会病院(茨城県神栖市)の非常勤医師でヘルスプロモーション(健康づくり)アドバイザーの阪本直人さんと同病院内科主任部長の濱田修平さん。
同院のある地区は、全国的に医師が少ないとされる茨城県内でもへき地にあり、慢性的な医師不足に悩む。若い労働者世帯、子育て世帯、高齢者世帯の集まる地域に分かれ、地域医療の課題は山積している。
阪本さんは、へき地に医師を定着させるため、住民、地元企業、NPO法人、弁護士などと協働し、まちづくりも担える医療系学生を教育する取り組みを進めていることを伝えた。この中で、互いの立場について語り合える交流の場づくりの重要性を強調した。
医師の立場からは、地域全体で健康を意識する必要性を強調。「健康なコミュニティー、環境、社会を維持するための場や機会が重要になる」と語り、地域住民を医療関係者とつなぎ、健康に寄り添うコミュニティナースの活躍に期待を寄せた。
濱田さんは札幌市出身で、道内で関わった自治体病院の立て直しについて語った。地域全体を俯瞰(ふかん)できる医師の育成には、医師や職場環境を改善に導く経営者、立場の違う人たちを結ぶ場を提供できる行政、立場の違いを理解して高め合える住民が必要とし、「10年先の病院のあるべき姿を話し合えるコミュニケーションの場をたくさん創出することが第一歩になる」と強調した。現場の声を重視することやビジョンを共有する大切さも挙げた。