自民党は派閥の裏金事件を受け、安倍派幹部だった塩谷立元総務会長、下村博文元政調会長、西村康稔前経済産業相、世耕弘成前参院幹事長の4人に対し「選挙における非公認」を軸に重い処分を行う方向で検討に入った。週明けに岸田文雄首相(党総裁)自身が4人を再び聴取。その他の関係議員を含め、4月第1週にも処分を決定する。複数の自民関係者が23日、明らかにした。
安倍派を巡っては、2022年4月に当時の派閥会長だった安倍晋三元首相が所属議員へのパーティー収入のキックバック(還流)廃止を決めた。しかし、塩谷氏ら4人による22年8月の協議を経て、還流は継続された。自民執行部は4人の政治的責任は重いとみており、選挙の非公認を軸に処分を検討している。党内には、より厳しい「党員資格停止」が必要との意見もある。
処分決定に先立ち、週明けに首相や麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長らが4人から還流継続の経緯などを再び聞き取る方針だ。茂木氏は23日、石川県輪島市で記者団に「党として事実確認する努力はさらに必要と考える」と説明。「早急に政治責任の在り方について結論を出したい」と述べた。
党内では4人の「離党」を求める声が上がっており、再聴取には自発的な対応を促す狙いもある。首相は裏金づくりの「キーパーソン」と目される森喜朗元首相からの聞き取りを検討する意向を示しており、聴取対象が4人以外に広がる可能性がある。
党執行部は4月に予定される首相の米国訪問前に関係者への処分を下す考え。安倍、二階両派の還流に関し、政治資金収支報告書の不記載が判明した議員82人全員が対象となる方向だ。二階俊博元幹事長について、塩谷氏ら4人と並ぶ重い処分が必要だとの意見もある。
首相が率いた岸田派も元会計責任者が立件され、首相が処分対象となるかどうかも焦点だ。執行部内には「不記載がない議員を対象にすることはない」(茂木氏)との意見がある。